テレクラが整備した「出会い」の環境について

テレクラが整備した「出会い」の環境について

新しいメディアやテクノロジーの登場は、社会の組成や、個々人の精神に大きな影響を与えます。

印刷技術の発達による活字文化、ラジオ、テレビ、インターネットなど、あるいは「蒸気機関」などでもよいのですが、これらの例を出せば明らかなように、こういった新しいメディアやテクノロジーの登場は、それぞれの時代において、「それ以前」と「それ以降」を厳密に分けながら、新しい環境を整備してきました。後述しますが、「テレクラ」もそのうちの一つです。

社会や個人は、これらのメディアを土台にして新しく整備された環境のなかで必要とされる「思考」や「行動」などを、なかば無意識のままに受け入れつつ変容しながら対応していくのであって、その逆ではないのではないか、と思われます。テレクラで言うならば「我思う故に我あり」ではなく、「テレクラあるゆえに我思う」といったところでしょうか。

新しいメディアやテクノロジーがすっかり「定着」したあとの世界から眺め回すと、この順序が転倒してしまいがちといいますか、自分たちの「思考」や「行動」などの土台が、そもそも新しいメディアやテクノロジーの登場によって半ば強制的に形成されたものでしかない、ということをついつい忘れてしまいそうになります。

しかし、改めて土台のようなものを探っていきますと、あるメディアやテクノロジーが登場する「それ以前」の感覚というものは、「それ以降」が定着した立場からは、「掴もうとしてもうまく掴めない手の届かない遠い場所」へと「断絶されている」ということに気付かされもするわけです。

もちろん、「想像」はできますが、それはボンヤリとした手触りだけを与えてくるのですし、「ふたたびそれがない状態に戻れるか」というと、どうも心もとないものがあるように思われます。

さて、「テレクラ」という「かつての新しい手段」と、それによって整備された「環境」が、「男女の出会い」のシーンに大きな影響を与えたということ、そして、その「影響」と「整備された環境」が、現在の「出会いを求める男女たち」の「思考」や「行動」を規定している、ということは疑いようのないことです。

「テレクラ」だけでなく、たとえば、現在「出会い系」などを利用しているユーザーなどが、実は「テレクラ以降」に整備された「出会いの環境」のなかで生きている、という事実は、「テレクラ」を知らずに「出会い系」だけを無自覚に使っているユーザーは気づいていません。

ですが、「テレクラ登場以前/以降」という見取り図がある人間から見ると、彼らの「出会い」というものが、そもそも「テレクラ」によって形成された土台の上で成立している、ということは火を見るより明らかなわけです。

テレクラの「自明な環境」を問い直して現在を照射する

「出会い系」の話が出て時間が前後してしまいましたが、「店舗型テレクラ→出会い系→無店舗型テレクラ」という流れを汲みながら登場することになった「無店舗型テレクラと店舗型テレクラが共存する現在のテレクラの環境」は、「店舗型テレクラしかなかった時代のテレクラの環境」とはまるで違います。

「無店舗型テレクラ」という新しい形態のテレクラの定着以降にテレクラにふれることになった現在のユーザーは、「店舗型テレクラしかなかった時代のテレクラの環境」というものを想像することや、その「環境」のなかで、人がどのように思考や行動を変容させながら「出会い」のシーンを作り上げていったかを想像することに多大な困難を感じるはずです。

少数の店舗型テレクラだけを使い続けている頑固なユーザーは別として、当時からテレクラを利用していたユーザーも「無店舗型テレクラ/店舗型テレクラ共存の時代」においては、「無店舗型テレクラ」という新しい手段の登場によって、「無店舗型テレクラ以降」の「テレクラ」という「環境」とともに動き始め、「店舗型テレクラしかなかった時代のテレクラの環境」の「思考」や「行動」には完全に戻れなくなっていることでしょう。

しかし、すでに断絶されたある地点の環境について「想像」の手探りをはわせること、自分たちの「土台」となっている自明の環境について改めて思考を巡らすことは、決して無意味ではないのではないか、と思います。

たとえば、「レコード→CD→音楽配信」の「音楽配信」の現代においては、「レコードの魅力」や「アナログ」というものが再発見されました。「現在の環境からふたつ前の環境で主要だったもの」というのは、「これから」のヒントを多分に含んでいる傾向があります。

先程、さらっと「店舗型テレクラ→出会い系→無店舗型テレクラ」という簡単な流れを提示しましたが、この流れを紹介したのは「無店舗型テレクラ」が主流の時代において、「店舗型テレクラ」が「ふたつまえの環境で主要だったもの」であることを語るためです。

「店舗型テレクラ」に再び照明をあてて、自明となって疑われることもなくなった「出会いの土台」の「環境」を改めて見つめ直すことによって、「テレクラのこれから」を考察するヒントがそれぞれのテレクラユーザーごとに与えられるのではないか、と考えています。

「無店舗型テレクラ/店舗型テレクラ共存の時代」がいつまで続くのかは私にはわかりませんが、この「無店舗型テレクラ/店舗型テレクラ共存の時代」においては、「店舗型テレクラ→出会い系→無店舗型テレクラ」という流れのなかにある「テレクラ」の、「現在の環境(無店舗型テレクラ主流)からふたつ前の環境で主要だった形態(店舗型テレクラ)」に未だに触れる機会があります。

無店舗型テレクラでの出会いに行き詰まっている、だとか、自分がなぜテレクラを使っているのかわからなくなった、というタイプのテレクラユーザーは、一度その無自覚にアポる手と屹立した陰茎を休めてみるのもよいでしょう。

そして、「ふたつ前の主要形態」であった「店舗型テレクラ」について考えてみたり、実際に入店してみたり、「テレクラ」というものがどのようにして登場し、「テレクラ登場以降」の「出会い」の環境をいかにして整備したか、について考えていくと、「これからのテレクラ」のための自分だけの思いもよらぬ攻略法が見いだせるかもしれません。

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