ヘルメスのテレクラ

ヘルメスのテレクラ

テレクラを利用して女性と出会うために最も必要とされる能力はなにかといいますと、やはり「はやさ」ということになるように思われます。

テレクラにおける「女性との出会いの交渉」は「即アポ」という言葉で呼ばれており、「即アポ」に成功したテレクラ女性とセックスすることは「即ハメ」という言葉であらわされます。

「いまさら何を」と思われるかもしれませんが、ここで改めて「即アポ」および「即ハメ」という言葉を持ち出しましたのは、この、テレクラにおける「成功体験」をあらわすふたつの単語のなかに、それぞれ「即」という「はやさ」にまつわる言葉が含まれていることに、なにか、テレクラの根本的な性格のようなものを見出したからに他なりません。

「テレクラ」というものは「はやさ」という性質と不可分に結ばれた出会いのツールであり、「テレクラ」というものを仮にギリシア神話の登場人物に当てはめるのであれば、それは、風よりも疾く走る情報と交通の神である「ヘルメス」こそがふさわしいのではないか、と私には思われるのです。

電話回線を通して空間を遠く隔てた場所に身を置く男女同士を一気に結び合わせるテレクラは、構造それ自体が「はやさ」を内包し、かつ、要求しているのではないでしょうか。

無店舗型テレクラの内部において、ヘルメスは、グリュイエールチーズのように「穴」だらけの電話回線を眼にも止まらぬはやさで走り回り、有孔空間の隙間から唐突に飛び出し、トリックスター的に二人の男女を結びつけているように思われます。

テレクラの内部を「疾き神、ヘルメス」が走り回っているのだとするならば、テレクラを利用するテレクラユーザーの行動もまた、テレクラのように「ヘルメス的」でなければならないように思います。

そんなテレクラユーザーのヘルメス的な側面を象徴するような言葉こそが、まさに「即アポ」であり「即ハメ」なのであります。

メタリックなテレクラについて語ること

機械に変換された「メタリックな質感の声」が受話器を通して女性の耳元へと届けられるときの、その「金属質な声」の持つ突き抜ける「はやさ」は空間を切り裂き、亀裂を与え、無限の彼方にいるテレクラ女性へと一気にコスミックジャンプする。

交渉成立と同時に「外」の空間へ飛び出して走り出そうとする「はやさ」のように、男性はテレクラ女性に「アポの交渉」をしかけなければなりません。

「即アポ」の声は、電話回線のなかを吹き抜ける金属質な暴風にほかなりません。そして、テレクラユーザーの男性とテレクラ女性の稲光にも似た「出会い」や「テレフォンセックス」は、新しい音楽を四方八方に撒き散らすことにもなります。

テレクラを利用してテレクラ女性に即アポをしかける男性ユーザーは、一つの出会いの失敗などに気を取られてはいけません。

即アポの失敗と同時に行われる身の翻し、稲妻のごとき疾走、「次の女性への即アポ」の開始こそ、テレクラユーザーの男性がとるヘルメス的な行動の代表的なものと言えるでしょう。

「即アポ」を成功させ、そして、「即ハメ」を行うテレクラユーザーの男性、およびその男性の体液は、「すばしっこい金属」であり、身をかわしながら逃げつつづけ、変幻するいきものでもある「水銀」に似たものであるのかもしれません。

水銀=ヘルメスであるテレクラ男性の空間を切り裂きながら横断する「即アポ」のための声の粒子は、テレクラ女性の耳に「水銀」の粒子=「音楽」として注ぎ込むことになります。

それは、「即ハメ」の際にテレクラ女性の膣中に注ぎ込まれるであろう精液とも対応しているのですし、メタリックな水銀の流れは、たとえ「中出し」されようとも、「外」の空間へと「すばやく」駆け抜けていこうとします。

そして、私たちはヘルメスが「性の神」であったという重大な事実をも、テレクラの利用中の「はやさ」のなかで思い出すことになるのです。

メタリック・テレクラ、リズミック・即アポ。そして、クリティック・即ハメ/クリスタル・テレフォンセックス。

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